2015年8月15日土曜日

Sylenth1で作る”Progressive House系” Pluckシンセ vol.02


前回に引き続き、今回もProgressive House系のPluckシンセの音作りです。
今回のサウンドは少し明るめにしました。
コード進行は、前回と同じものを使っているので、比べてみると面白いかもしれません。

まず、完成した状態の音を聴いてみましょう。

MIDI


STEP1

まず、Sylenth1のMENUから”Init Preset”を選んで、プリセットを初期化し、同時発音数を"8"に変更します。

・Polyphony=8


次に、OSC A1のオシレーター波形から”Saw”を選び、ボイス数を”4”にしてDETUNEさせます。また、RETRIG(リトリガー)をOFFにするのも忘れないようにします。

・OSC A1:WAVE=Saw , VOICES=4 , DETUNE=2.38 , RETRIG=OFF

そうすると、このように鳴ります。


STEP2
次に、フィルターセクションで、Pluckサウンドっぽい音の変化を作ります。
まず、FILTER Aから”Lowpass”を選び、FILTER CONTROLのCUTOFF周波数を”1.00Hz”にして、いわゆる閉じた状態にします。

・FILTER A:FILTER TYPE=Lowpass , 12dB
・FILTER CONTROL:CUTOFF=1.00Hz , RESONANCE=1.67

そして、エンベロープで周波数変化を作り出します。

・MOD ENV1
   Destination=Cutoff A , Amount=10.00
   A(ttack)=0.00 , D(ecay)=5,29 , S(ustain)=0.69 , R(elease)=7.13

だいぶ、Pluckサウンドっぽくなってきました。




STEP3
ここで、少し芯があるようなサウンドにするため、OSC Bの音を加えようと思います。
基本的には、OSC Aと同じ設定ですが、少し真ん中から聴こえて欲しいので、STEREOを”6.67”にします。
そして、OSC BはOSC Aの音に芯を付け足す役割なので、OSC Bの音量を下げます。

・OSC B1:WAVE=Saw , VOICES=4 , DETUNE=2.38 , STEREO=6.67 , RETRIG=OFF



・MIXIER:MIX B=3.39

広がりがありつつ、真ん中からも聴こえるようになりました。




STEP4
STEP2と同様に、OSC Bにもフィルターセクションで周波数変化を作り出します。
ここでのポイントは、Lowpassのカーブを24dBと、OSC Aよりきつくすることで高音域を削り、真ん中でなっていることを強調することです。

・FILTER B:FILTER TYPE=Lowpass , 24dB

 ・MON ENV2
    Destination=Cutoff B , Amount=7.90
    A(ttack)=0.00 , D(ecay)=4.48 , S(ustain)=1.26 , R(elease)=4.54




STEP5
そして、アンプエンベロープで音量変化を調整します。

・AMP ENV A and B
   A(ttack)=0.05 , D(ecay)=5.98 , S(ustain)=1.61 , R(elease)=3.16

リリースの減衰感もあって、良い感じに仕上がってきました。


STEP6

ここからは、エフェクトをかけてよりサウンドをブラッシュアップしていきます。
まず、EQで少し耳に付く帯域と不要な低域を削り、高音域をシェルビングすることで空気感を足しました。
見た目上、1.5~3.5kHz付近が少しいびつな感じになっていますが、1バンドでざっくり削るとやり過ぎだと判断して、3バンドで少しずつ削りました。

(1)EQ(FabFilter Pro-Q 2)

Band1 Lowcut(12dB/oct) , Q=1.0 , 35.3Hz
Band2 Bell , Q=3.27 , 1.65kHz , -3.0dB
Band3 Bell , Q=3.70 , 2.40kHz , -2.4dB
Band4 Bell , Q=3.21 , 3.38kHz , -3.5dB
Band5 HighSelf , Q=0.3 , 6.40kHz , 1.5dB

僅かですが、音が整理されました。


STEP7
次に、コンプをかけて音量を揃えつつ、少し音圧をアップさせます。
Renaissance Compのリダクションがゆるい、Opto(光学)モードで音量を揃えつつ、C1 Compで少し音圧感を出しました。

(2)Comp1(WAVES Renaissance Compressor)

Mode=Opto , Smooth
Ratio=3 : 1 , Attack=5.06 ms , Release=65.8 ms
Gain Reduction=-3~4dB

(3)Comp2(WAVES C1 Compressor)

Ratio=4 : 1 , Attack=1.00 ms , Release=60.0 ms

Gain Reduction=-5~6dB




STEP8
最後に、Side-chainをかけ4つ打ちキックと合わせると完成です。

(4)Side-chain(Nicky Romero Kickstart)

完成!!!(Side-chain→Side-chain + Drums)

2015年8月13日木曜日

Tropical House系?LAの男女2人組「KOLAJ」の"The Touch"って曲が新しい感じで大人だった

photo by edmtunes.com

SoundCloudで偶然見つけた、「KOLAJ」(←なんて読むんでしょう?)というインディー・ダンスバンド(どう表現していいか分からないのでテキトーです笑)。

少し調べてみたら、LA出身のTeesaとMighty Mikeの二人組らしいことが分かっただけで、あとは英語の記事なのでよく分かりません(笑)。

 しかも、SoundCloudにあるトラックは"The Touch"という1曲のみ。新人なんでしょうか?そんな分からないことだらけ(←調べるのが面倒)なんですが、この"The Touch"という曲がいいんですよ。

KOLAJ - The Touch



初めて聴いた感じは、Tropical House?って思ったんですがなんかしっくり来ない。
最近のProgressive House系EDMを思わせる曲構成なんだけど、サウンド的には踊らせるというよりは、聴かせる系でメロディも印象的。まさに、大人ハウスですよ!

そんな感じでモヤモヤしていると、ネットで”Chill/Melodic House”という言い方を見て、上手いなと思いました。もうこの曲のすべてを一言で形容していますよね。

これからどんな活動をするのか、引き続きウォッチしたいと思います。

2015年8月12日水曜日

Sylenth1で作る”Progressive House系” Pluckシンセ vol.01


Progressive House系の曲を聴いていて、頻繁に出てくるPluck(プラック)と呼ばれるサウンド。

Pluckには、「(弦楽器を)かき鳴らす」という意味があるように、「パチン」と弾くようなアタック音と減衰、そして少し長めのリリース音と音色の変化が特徴です。曲中の役割としては、コード楽器やリード(フィルターを開いた状態)に使っている場合が多い印象です。

このPluckなんですが、結構簡単に作れてしまいます。なので、一度覚えてしまえば、あとは自分流にアレンジして色々なサウンドが楽しめます。あと、「一からシンセで音を作るのは苦手」なんて人にもおすすめです。

ちなみに、今回使ったシンセは、”Lennar Digital Sylenth 1”です。
シンプルなインターフェースで操作性が良く、音も優秀なので愛用している方も多いと思います。シンセ初心者の方が学ぶ際にも、おすすめです。

今回は8分音符でコードを刻むPluckサウンドを作ります。ちなみに4つ打ちのキックと合わせるため、完成した状態のPluckシンセには、サイドチェインがかかっているので、アタック感は薄くなっています。
それでは、はじめましょう。


まずは、完成した状態の音を聴いてください。
 
MIDI


STEP1

まず、Sylenth1のMENUから”Init Preset”を選び、プリセットを初期化します。
そして、同時発音数と音量を次のように変更します。

・Polyphony=16

・MIX A=6.61、MAIN VOLUME=2.92

そうすると、初期状態の音でこのように鳴ると思います。



STEP2

OSC A1のオシレーター波形から"Saw"を選び、ボイス数を4にしてDETUNEさせ、RETRIG(リトリガー)をOFFにし、新しいノートが発音されるたびに波形が最初から発音されないようにします。
また、よりDETUNEされた音にするため、OSC A2は同じ”Saw”にし、DETUNEをA1から少しずらした値にします。

そして、アンプエンベロープでPluckらしい音の減衰を作ります。

OSCILATOR A1:WAVE=SAW , VOICES=4 , DETUNE=3.99 , RETRIG=OFF
・OSCILATOR A2:WAVE=SAW , VOICES=4 , DETUNE=3.81 , RETRIG=OFF

AMP ENV A:A(ttack)=0.10 , D(ecay)=2.95 , S(ustain)=7.90 , R(elease)=3.10

すると、先ほどより柔らかく広がりのある音になります。



STEP3

次に、Pluck特有のアタック音と音色変化を出すために、フィルターを設定します。
今回は、フィルターが開いた状態から閉じてまた開くというように音色を変化させます。
Sylenth1での音作りは、これで完成です。次はエフェクトで音をよりブラッシュアップさせます。

・FILTER A:FILTER TYPE=Lowpass , CUTOFF=49.64Hz , RESONANCE=0.76 , DRIVE=0.64

・FILTER CONTROL:CUTOFF=445.89Hz , KEYTRACK=3.92

・MOD ENV1
 Destination=Cutoff A , Amount=-4.24
 A(ttack)=3.92 , D(ecay)=3.51 , S(ustain)=0.55 , R(elease)=5.57

アタック音と音色変化で、かなり良い感じの音になってきました。




STEP4

まずは、EQで不要な35Hz以下の低域をカットし、300Hz付近を下げて厚みを少し削ります。そして、明瞭さを出すために3.5khz以上を少し上げます。

(1) EQ1(FabFilter Pro-Q 2)

Band1 Type=Lowcut(12dB/oct), Freq=35.8kHz, Q=1.0
Band2 Type=Bell, Freq=314kHz, Gain=-2dB, Q=1.8 
Band3 Type=High Shelf(12dB/oct), Freq=3.5kHz, Gain=1.5dB, Q=1.0

次に、アタック感を少し抑えつつ、音量を揃えるためコンプを2段がけします。
前段の”WAVES Renaissance Compressor”のOptical(光学)モードで音量を揃え、後段の”WAVES C1 Compressor”でアタック感を抑えます。

(2) Comp1(WAVES Renaissance Compressor)

Mode=Opto , Smooth
Ratio=3 : 1 , Attack=5.02 ms , Release=64.9 ms
Gain Reduction=-3~4dB


(3) Comp2(WAVES C1 Compressor)

Ratio=6 : 1 , Attack=1.00 ms , Release=50.0 ms
Gain Reduction=-5dB

アタック感が少し抑えられ音量が揃っているのが分かると思います。



STEP5

仕上げに4つ打ちのキックと合わせるために、サイドチェインをかけ、さらにコンプで変化した音色を補正するためにEQをかけて完成です。

(4) Side-chain(Nicky Romero Kickstart)

(5) EQ2(Cubase Channel EQ)

完成!!!(Side-chain→Side-chain + Drums)

2015年8月11日火曜日

SONIC MANIA 2015(ソニックマニア)出演アクトを予習してみた(The Prodigy, Marilyn Manson 編)


The Prodigy(プロディジー)

photo by summersonic.com

 ビッグビートやドラムンベースといったリズムを主体に、テクノとロックを融合したサウンドが特徴的なイギリス出身の3人組バンド。観客を魅了するライブパフォーマンスにも注目。


Wild Frontier
ビートとラップ風ボーカルの絡み、細かく刻んだシーケンスフレーズが癖になる曲。そして、飽きさせない絶妙な展開もさすが。



Nasty
実写とアニメーションを組み合わせたMVが面白い、最新作『The Day Is My Enemy』からNasty。
三味線のような音色のリフが渋い!そして、ジャケットにもなっている赤いキツネが不気味です(笑)。



Take Me To The Hospital
いやー、ライブパフォーマンス格好良すぎでしょ!観客のノリを見ているだけでアガってきますね。「Teke Me To The Hospital」と叫んで、コール&レスポンス出来たら、楽しいでしょうね。



Breathe
踊らずにはいられないロックノリなビート、Prodigy特有の不気味フレーズが畳み掛けてきます。




Marilyn Manson(マリリン・マンソン)

photo by summersonic.com

 ヴォーカルのMarilyn Mansonを中心にアメリカで結成されたメタルロック・バンド。


Deep Six
最新作『The Pale Emperor』から軽快なロックナンバー。



mOBSCENE
曲名の"mobscene"は「群衆」という意味。そこからmを取ると「obscene=卑猥」になるという、シャレ(?)も効いてます(笑)。



Disposable Teens
「Disposable Teens=使い捨ての10代」。彼の宗教へのスタンスが歌われています。

2015年8月10日月曜日

コンプで”音圧”を稼ぐ(ギター編)

*画像と内容は、一切関係がありません。

 今回は、コンプレッサー(コンプ)を使って、音圧を稼ぐということをしてみたいと思います。


 まず、コンプの基本的な使い方のおさらいです。




コンプの効果


 簡単に説明するとコンプは、音量のバラつきがある素材に対して、大きい部分を抑えることで、全体的に音量を平均化するものです。そして、平均化されたことにより、音量を持ち上げることができるので、結果として音圧が大きくなり、音が太くなったように感じます。

 いきなりこんな文章では、分かりにくいと思うので図で説明するとこんな感じです。


 音量にバラつきがある状態で、音量が大きい部分(設定した値(スレッショルド)を越えた部分)を押さえ込むことで、音量差が小さくなっているのが分かると思います。
 そうすることで、全体の音量を持ち上げることが出来るようになり、音圧がアップするのです。


実践編


 それでは、実際に音素材にコンプをかけて音圧を稼ぐというのをやってみましょう。

 さて、今回は使うのはギターの音素材です。
 まずは、コンプのかかっていない原音の状態を聴いてみましょう。


・原音





 どうですか?歯切れのあるギターサウンドですが、少し音の”迫力”にも欠けていますね。

 また、ギターをストロークした際の突出した短いアタック音が出ています。
 こういう部分でピークの音量が決まってしまうので、実際に聴いている音量感がメーター上の音量より、小さく感じてしまいます。

 そこでアタックを抑えるようにコンプをかけてみました。
  今回使ったコンプは、”WAVES Renaissance Compressor”です。定番中の定番ですね。説明は省きますが、非常に扱いやすいので多くの人に愛用されている名コンプです。

 それでは、コンプの設定を見ていきましょう。


(例1)
 アタック・タイム1.09ms、リリース・タイム9.50ms、レシオは4:1に設定。アタックを抑えつつ、リリースも早めなので、歯切れ良さを保ちつつ、少し迫力も出すような設定です。  モードは、電子式のElectroモードを選択しました。光学式のOptoモードでは、少し抑制が効きすぎておとなしくなってしまいました(笑)。

 ゲイン・リダクションは、3dB以下なので自然なサウンドになっています。


Renaissance Compressorの設定 (例1)


 それでは、原音とコンプ処理後を聴き比べてみましょう。もちろん、音量は同じになるように設定しています。
 原音→コンプ処理後の順で、2回流れます。(*音量を上げて聴いたほうが、より違いが分かります。)


・原音とコンプ処理後 比較1


(例2)
 アタック・タイム0.50ms、リリース・タイム18.4ms、レシオは4:1に設定しました。例1よりもアタックを早く抑えつつ、リリースも少し長くして、コンプがよりかかるようにした設定です。

 ゲイン・リダクションも4dB以上なので、コンプをかけた感じが先ほどより出て、迫力も音圧もアップしています。
 
Renaissance Compressorの設定 (例2)


・原音とコンプ処理後 比較2




まとめ

 いかかでしたでしょうか。元の音素材の特徴を把握し、作り出したい音のイメージとコンプの設定を理解すれば、思い通りの音作りが出来るようになります。

 今回は、Renaissance Compressorを使いましたが、勿論ほかのコンプでも同じような音作りが出来ます。同じようなというのは、コンプそれぞれに特有の癖があり、似た設定をしても音が違ってくるからです。
 なので、一番大切なのは、使っているコンプの特性を理解し、その良さが生きるような使い道を探し出すことです。どんなコンプでも、何かしら使い道があります。人間の世界もそうありたいです(笑)。

 最後に、波形だけ載せておきます。耳で聴いて感じるのは勿論、目に見えて違いがあると、テンション上がります(笑)。


・原音

・例1

・例2

2015年8月8日土曜日

中田ヤスタカ(CAPSULE)の”使用機材”をまとめてみた(後編)

ソフトウェア音源(Software Instruments)


プラグイン・ソフトウェアバンドル


・Native Instruments KOMPLETE ULTIMATE
  - Kontakt 5, Massive, FM8, Batteryなど


シンセ音源

・ARTURIA V COLLECTION
  - Prophet-V, JUPITER-8V, MINI-Vなど

Arturia V COLLECTION 4

Arturia V Collection Classics


・LENNAR DIGITAL Sylenth 1
・reFX Nexus2
・Native Instruments Pro53


ギター・ベース音源

・MUSICLAB Real Guitar 3
・Steinberg Virtual Guitarist 2
・SPECTRASONICS Trilian


ピアノ音源

・Steinberg The Grand 3
・XLN AUDIO Addictive Keys


ストリングス音源
・Steinberg Halion Symphonic Orchestra


ドラム音源

・FXPansion BFD3
・XLN AUDIO Addictive Drums 2



プラグイン・エフェクト(Plug-in Effect)


プラグイン・バンドル

・WAVES Mercury
・Universal Audio UAD-2 ULTIMATE
・Nomad Factory Integral Studio Pack


ボーカル補正
・ANTARES Auto-Tune
・ANTARES Harmony Engine
・CELEMONY Melodyne Editor
・YAMAHA Pitch Fix


マルチ・エフェクター

・SUGAR BYTES Turnado


サンプリングCD(SAMPLING CD)

・VENGEANCE製品
・SAMPLE MAGIC製品(SM08 Nu-Raveなど)
・ZERO-G製品(Vocal Forge, Vocal Foundry)